ひとりごと。

それは去年の秋に買った服だった。
肩口に大きなリボンの刺繍があり、スパンコールがアクセントになっている。
黒とグレーの配色だから、そんなにギラギラした派手さはない（と思っている）。
でも、スパンコールはスパンコールだ。
仕事用には使えないかなとは思ったが、たぶん私がなにを着てても
そう気にとめる人はいないだろう。

きょう、その服を着て、若いご夫婦のおうちへおじゃました。
小さな雑貨や小物が似合うおうちで、どこをみても可愛らしい。
最近は、こういうおうちが増えていて、もちろんそれがどうこういうのではなく、
ああ、時代の色はどんどん変わっていくんだなと感じた。

なんだか、スパンコールが所在なさげに見えてきた。
もちろん好きで着ている服だし、いまでも自分らしいチョイスだと思ってる。
でもなんだか、去年の秋とはちょっと違うのだ。

20代、30代のころに過ごす1、2年は、同じ質量を持っているけど
40代になったとたん、1年、2年の経過は大きいと、しみじみ感じた。

諦めて老けるつもりはないけど、これから重ねていく年は
確実に自分に跳ね返ってくる。
身丈にあうもの、似合うもの、
それはどうやって生きてきたかと生きていくかの通知表が
服になってあらわれるんだと思った。

真っ黒いカラスのように、自分にない光ものを集めてもしようがない。
大きくみせようと、小さくみせようと、今現在の自分は自分だ。

なんだか全部の服を捨てたくなって、
いま、むしょうに、ただの白い綿シャツがほしいです。

という、ひとりごと。